秋の七草

万葉集で詠まれた草花~秋の七草のご紹介~

秋の七草をご存知ですか?
春の七草は、七草粥で馴染みがありますよね。
一方、秋の七草は聞いたことがあってもどのような草花がそれなのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
今回はそんな秋の七草についてご紹介したいと思います。

■秋の七草の由来

万葉集はご存知かと思います。
奈良時代末期頃に成立された約4500種の歌を収めた歌集です。
その中に収録されている奈良時代の歌人の山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ下記の2首の歌が由来とされています。

・秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
・萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝貌の花

■どのような植物が秋の七草なの?

由来で挙げた2つ目の歌が七種の花です。
それぞれ下記の花のこととされています。

萩の花:ハギ

・花言葉は、内気、思案、前向きな恋

尾花:オバナ(ススキのこと)

・花言葉は、生命力、活力、心が通じる

葛の花:クズ

・花言葉は、活力、根気、努力、治療、芯の強さ

なでしこの花:ナデシコ

・花言葉は、純愛、才能、無邪気、大胆

をみなへし:オミナエシ

・花言葉は、親切、美人、儚い恋、約束を守る

藤袴:フジバカマ

・花言葉は、優しい思い出、思いやり

朝貌の花:キキョウ
※諸説あります。朝貌の花はアサガオという説とキキョウという説がありますが、現在はキキョウという説が有力ではないかとされています。

・花言葉は、誠実、従順、清楚、気品、変わらぬ愛

■覚え方

春の七草は下のような歌がありますよね。
「せりなずな ごぎょうはこべら ほとけのざ すずなすずしろ これぞ七草」
丁度短歌のリズムの五・七・五・七・七になっています。
では秋の七草はどのように覚えるのでしょうか。
こちらは下記の2パターンの語呂合わせが覚えやすいと言われています。

1.語呂合わせで覚える(植物の名前は知っているよ!という方向け)

既に植物の名前は知っているけど秋の七草が何かは分からないという方は語呂合わせで覚える方法があります。

・お好きな服は?
お:オミナエシ
す:ススキ
き:キキョウ
な:ナデシコ
ふ:フジバカマ
く:クズ
は:ハギ

・ハスキーなお袋
ハ:ハギ
ス:ススキ
キ:キキョウ

な:ナデシコ
お:オミナエシ
ふ:フジバカマ
く:クズ

2.春の七草と同じリズムで覚える(植物の名前が分からない!という方向け)

上の語呂合わせで覚える方法は植物の名前を知っている方向けでした。
では全く知らない場合でも覚える方法はあるのでしょうか?
実はこちらも春の七草同様のリズムに合わせることが出来ます。
「ハギキキョウ クズフジバカマ オミナエシ オバナナデシコ (これぞ七草)」
慣れないうちは言いづらいですが、これなら繰り返し声に出していると自然と覚えることが出来ますね。

■まとめ

今回は秋の七草についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
春の七草は七草粥で食べますが、秋の七草は食べることはありません。
花の持つ美しさを観賞して楽しむものなのです。
猛暑を乗り越え、徐々に過ごしやすくなっていきます。
これからの季節は秋の七草の観賞に浸ってみるのも良いのではないでしょうか。

2018-09-21 | Posted in , 花と文化No Comments » 

 

十五夜に飾りたい「秋の七草」一覧!中秋の名月に秋の花を飾ってみては?

秋の催しといえば、お月見をする【十五夜】が思い浮かびますね。
十五夜の日にちは、9月7日から10月8日までの間で毎年変わっています。
2024年は【9月17日】となります。

今回の花だよりでは、十五夜に飾られる【秋の七草】についてご紹介します。

■秋の七草は鮮やかな花を眺めて楽しむ

「十五夜」という呼び方は、新月が満月になるまで約15日かかることに由来しています。
中でも9~10月頃の十五夜は、くっきりした美しい月が見える【中秋の名月】です。
秋は空気中の水蒸気量が少ないため、空気が澄んでいて月があまり霞まないのです。

また、お月見のお供え物といえば【ススキ】ですが、昔は他の秋の七草も一緒に飾っていました。
お粥に入れて食す春の七草と違い、鮮やかな花を眺めて楽しみます。
旧暦の秋は7~9月だったので、現代の基準では夏から咲き始める花が含まれています。

【ハギ】

花言葉:思案、想い

万葉集の中で最も詠まれており、140首以上に登場しています。
秋のお彼岸で食べる「おはぎ」は、この花と小豆が似ていることから名付けられました。

 

【ススキ】

花言葉:活力、生命力、心が通じる

稲穂に似ていることから、豊作を祈願して十五夜に飾られています。
魔除けの意味を持っており「軒先に吊るすと1年間病気にならない」という言い伝えがあります。

 

【キキョウ】

花言葉:変わらぬ愛、誠実、気品

まるで紙風船のような丸いつぼみと、家紋の元にもなった星型の花が特徴です。
野生のキキョウは減り続けており、絶滅が危惧されています。流通しているものはほとんどが園芸品種です。

 

【ナデシコ】

花言葉:無邪気、純愛、貞操

小さくて愛らしい花を「子どものように撫でて愛でたい」ことが花名の由来と言われています。
また、色の名前である「pink(ピンク)」は、ナデシコの英名が語源となっています。

 

【クズ】

花言葉:芯の強さ、根気、努力

根を乾燥させた「葛根」は漢方薬の原料に、根から得られる「葛粉」はくずきり・葛餅などに使われます。
繁殖力がとても強く、アメリカでは増えすぎたクズの駆除が続けられています。

 

【フジバカマ】

花言葉:優しい思い出、ためらい

かつては河原などに群生していましたが、現在は準絶滅危惧種に登録されています。
生の状態では香りがしませんが、葉や茎を乾燥させると、桜餅のような甘い香りを発します。

 

【オミナエシ】

花言葉:美人、はかない恋、忍耐

花名の「オミナ」は「美しい女性」を意味し、美女をも圧倒する花と言われています。
臭いがあまり良くなく、腐った醤油に似ていることから「敗醤(ハイショウ)」とも呼ばれます。

 

万葉の頃には身近だった秋の七草ですが、現在は自生地が減少の傾向にあります。
ススキやナデシコは入手しやすいので、十五夜のお供に飾ってみてはいかがでしょうか。

2017-09-22 | Posted in , 花と文化No Comments » 

 

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