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四十九日とは?
僧侶に教わる基礎知識と、
服装・花のマナー完全版

四十九日とは?僧侶に教わる基礎知識と、服装・花のマナー完全版

四十九日は、大切な方が亡くなった日を1日目と数えて、49日目に行われる法要のこと。特に仏教や一部の日本の宗教において重要な行事です。
今回は、知恩院の僧侶であり、華道家でもある大津憲優さんに、四十九日法要を行う意味や意義、知っておきたいルール、備える花や服装のマナーについて教えていただきました。

今回お話してくださった
住職 兼 華道家さん

大津憲優さん

大津憲優さん

  • 浄土宗修練道場・華道講師
  • 西雲寺第二十一世住職
  • 正念寺第三十八世兼務住職

知恩院の所属寺院に従事する傍ら、都未生流の華道講師としてもご活躍中

※以下内容は、大津さんへのインタビューをもとに、編集チームが執筆したコンテンツです

四十九日とは?

四十九日法要

四十九日とは、亡くなった日を1日目と数えて49日目に行う法要のことです。

仏教では、「輪廻転生」といって、命あるものは亡くなった後、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)の迷いの世界を何度もぐるぐると生まれ変わりながら生きていくと説かれています。

仏教では、故人が亡くなってから49日の期間を「中陰(ちゅういん)」呼び、7日ごとに計7回の「中陰法要(ちゅういんほうよう)」を行います。残された者は、故人が浄土へ往生できるよう中陰法要を勤めます。

浄土とは

仏や菩薩が住む清浄な国土のこと。

往生とは

現世を去って仏の浄土に生まれること。

四十九日は中陰法要の最終日に当たり「満中陰」とも呼ばれ、最も重要視されています。

▼中陰法要
  • 初七日(しょなのか):没後7日目
  • 二七日(ふたなのか):没後14日目
  • 三七日(みなのか):没後21日目
  • 四七日(よなのか):没後28日目
  • 五七日(いつなのか):没後35日目
  • 六七日(むなのか):没後42日目
  • 七七日(なななのか)=四十九日:没後49日目(満中陰)

※亡くなった日を1日目として数えます

なぜ四十九日法要は重要なの?

四十九日の法要では何をするの?意味と由来

お供え

● 地域や宗派によっては塗のお位牌を用意し、開眼のお勤めをする

地域や宗派によって異なりますが、例えば浄土宗では四十九日法要に塗(ぬり)のお位牌(おいはい:本位牌ともいう)を用意し、お位牌の開眼法要を併せて行うことが一般的です。

● 本位牌の開眼のお勤めとは?

中陰の間は、突然亡くなったため急いでお位牌を用意したことを表す、簡素な白木のお位牌をお祀りします。そして四十九日の法要の際、これからしっかりと故人をお祀りしていくという思いを込めた丁寧な塗のお位牌へ、故人の魂を入れ替えます。この儀式が「本位牌の開眼のお勤め」です。

四十九日の「お斎(おとき)」とは?

お斎

法事は故人の供養であると同時に、親族が縁の絆を確認する場でもあります。そのため、法要の後には参列者と一緒に会食をするのが一般的です。これを「お斎(おとき)」といいます。

四十九日法要後に行うお斎の食事内容や使用食材に関して、特に制限はありません。

古くは四十九日までの間(忌中)、遺族は殺生を連想する肉・魚は避けて精進料理を食し、四十九日法要後に忌明けとして、精進落とし・精進明けといわれる普段の食事をする習わしがありました。

このことから、四十九日法要のお斎では、肉や魚も食べてOK。参列してくれた方へ普段より少し豪華な食事を振る舞い、肉・魚・米・野菜などすべての命に感謝し、報いるように生きようと感じられれば、この上のないお斎の場となります。

四十九日の法要は、どこで行う?

四十九日法要

四十九日の法要は、かつては自宅で行われることがほとんどでした。
しかし住宅事情や家族構成の変化などから、最近は参列者の人数や交通の便、法要後のお斎などを考え、それらに適した場所で行うのが一般的になっています。具体的には、ホテルや料理屋・葬儀会館・お寺などです。それぞれの事情に配慮した場所を選びましょう。

四十九日の法要はいつ行う?

トルコキキョウ

四十九日の法要は、基本的には四十九日を迎える当日に執り行うものです。

しかし、お寺や家族・親族など参列者の都合が合わず、四十九日の当日に法要を行うのが困難であるかもしれません。
その場合は、四十九日当日を過ぎなければ少し前倒しで行っても大丈夫です。なるべく六七日(むなのか)の翌日から四十九日を迎えるまでの間に法要を行いましょう。

※六七日(むなのか):没後42日目

ただし、地域によっては中陰の期間が3月にまたがると、「始終苦(四十九)が身に付く(三月)」といって縁起が悪いと考えることも。そのため、四十九日に忌明けせずに、五七日(いつなのか)などの少し早い日程に繰り上げて法要を勤めることがあります。

※五七日(いつなのか):没後35日目

四十九日の法要には誰が参加する?

四十九日法要の様子

四十九日の法要には、家族や親族、また故人と縁のあった方で集い、供養を行うのが一般的です。

なお、これは一周忌などの法要でも同様です。その後、三回忌以降は規模が縮小していき、近くの親戚や家族のみで行うのが一般的です。また、十三回忌以降になると、例えば「半年早いけれど、お父さんの七回忌と合わせて十三回忌を行おう」というように、他の方の法要と一緒に行うケースも多くなります。

四十九日までに遺族が準備しておくことは?

準備しておくもの

四十九日の行い方は、宗派や地域によって違います。法要に必要なもの(お位牌に関することなど)についても宗派や地域によって異なりますので、早めに寺院方へ連絡を取り、確認しましょう。

宗派や地域を問わず、準備しておかなければいけないこと
  • 日取りの連絡(寺院方・参列者)
  • 自宅でお勤めする場合:お仏壇のお飾りやお供えの準備
  • 他所でお勤めする場合:会場の手配、お飾りやお供えの確認

● 仏花の手配について

中陰の白木棚に供える花は、施主※が用意するのが一般的です。それ以外のお供物としての花は、誰でも供えることができます。

※施主(せしゅ):葬儀費用を負担する人・供養をする主役となる人

四十九日の服装のマナー・タブーは?持ち物は?

四十九日法要の持ち物

実は、仏教において参列者の服装についての決まりはなく、マナー・タブーは地域やお家で変わります。

とはいえ、一般的には、いわゆる喪服に準ずる服装(準喪服:黒を基調とした正装)を着用することがほとんどです。男性なら白いシャツに黒色のスーツ・ネクタイ。女性は黒色を基調とした洋装の方が多いです。
持ち物は、お数珠や御霊前(御香典)、御供(ごくう:お供え物)を用意しましょう

地域によっては、お供え物を寺方や参列者で分け合うことがあります。ですので、焼き菓子や塩昆布など、大人数で分けやすく日持ちする食べ物が多く見受けられます。

お供え物を持って行く際は賞味期限が短いものや分けにくいもの、また要冷蔵など相手側に管理の手間がかかる食べ物は控えたほうがよいでしょう。

四十九日にお供えする花のマナーとは?予算や色は?

胡蝶蘭の花

四十九日の法要でお供え物を分け合わない地域では、参列者がお供え物の代わりに花を贈ることが多いです。これは、施主側が一人暮らしの場合、大量の食べ物をお供えされても困るだろうといった配慮などがあるようです。

ここからは、花の選び方についてのマナーをご紹介します。

● 白系でまとめた花が適している

四十九日法要の場には、白系の花でまとめたアレンジメントや花束が適しています。

よく用いられるのは白い胡蝶蘭です。この理由は、胡蝶蘭の垂れさがる形が陽気を鎮め、しめやかに霊をなぐさめる気配が感じられるから。清浄で気品のある白色に、蓮の花にも似た質感が、供える者の心を自然と安らげてくれるでしょう。また、匂いが少ないことも理由の一つです。

なお、四十九日で贈る花にはお名札(立札)をつける場合が多いです。飾り文字に決まりはありませんが、「供」「御供(ごくう)」などをつけるのが一般的です。

飾り文字

胡蝶蘭やスタンド花に付けるお名札の、一番上に書く文字のこと。

お供え胡蝶蘭 3本立(開花輪白24以上)
凛とした胡蝶蘭の花姿が
故人を偲び哀悼の意を表します

● サイズは会場や花屋さんと相談しよう

花のサイズや形状については、開催場所を確認してから決めると良いでしょう。
「大きく見栄えがする花がいいのか」「コンパクトに持ち運べる形がいいのか」、「参列者に分けられるようなスタイルがいいのか」など、それぞれを把握したうえで花屋さんと相談して決めるのがおすすめです。配送もしくは持参するかについても、花屋さんや施主と相談してください。

● 予算は5,000円程度を基準に

予算は関係性によって異なりますが、個人で贈る際は5,000円程度、連名で1人5,000円程度が目安となります。もし、自分の親や上司・先輩など目上となる存在の方も供花を贈ることがわかっている場合は、その方より少し下回る予算で用意するとよいでしょう。

お供えのアレンジメント(供花台(小)付き)
凛々しく落ち着いた雰囲気のお花が
お悔やみの気持ちを伝えます

● 花を届けるタイミングは?

花を配送する場合は、出席・欠席に問わず、自宅であれば法要の2日程前に、ホテルや葬儀会館などの会場であれば、配送先も管理に責任が持てないと思いますので、当日か前日の夕方へ届くよう手配しましょう。郵送する際は、必ず配送先の確認をとってから手配してください。

● 呼ばれなかった場合は、供花を贈っても良い?

「故人とは親しかったものの家族・親族とは縁がなく、四十九日法要には不参加だ。でも花をお贈りしたい」というケースもあるでしょう。しかし、全く知らない方から供花が贈られてきても、お返しをどうしたらいいかなど、ご遺族を困らせてしまう恐れがあります。

こういった場合は、花だけを贈るのではなく、手紙を添えるようにしましょう。「故人とはこういう関係性で、こういう気持ちで花をお贈りしました。お返しは不要です」など、自分の情報や考えをきちんと伝えることで、ご遺族も気持ちよく受け取ることができるでしょう。弔電は遺族側が気を使うかもしれませんので、手紙やメッセージカードを添えることがおすすめです。

ちなみに花キューピットでは、メッセージカードを無料(30文字以内)で付けることができます。故人との関係性や想いなどをしっかり伝えたい場合は、花が届くタイミングに合わせて手紙を郵送するとよいでしょう。

四十九日のお供え花を贈る

四十九日に花をお供えするのはなぜ?

四十九日までにやってはいけないタブーな行動はある?

菊の花

仏教の考えにおいて、「四十九日までにやってはいけないこと」は特にありません。その理由は、仏教では死を決して「ケガレ(※1)」と捉えていないからです。

しかし、日本には古くから神道の考えも根付いており、死を「ケガレ」と捉える観念があります。ケガレの状態にある人は周囲に異常をもたらすとされ、その身内もまたケガレの状態になるとして避けられました。

そのため、四十九日までの間はなるべく外出せず、人に会わず、故人の冥福を祈るのみに務めていました。忌中に神社の参拝などを控えるのは、神様が死をケガレとして特に嫌うからです。また、人がたくさん集まる会(とくに慶事などの祝い事)などは避けるようにとされてきました。

しかし、四十九日の間をどう過ごすかは、人それぞれの考えや価値観で決めれば良いでしょう。例えば、神社への参拝や結婚式への参加は控えるものの、誕生日会など個人的なお祝い事であれば、そこまで制限せずに柔軟に対応するのが良いかもしれません。

※1:ケガレ(穢れ)とは、清浄でない、汚れて悪しき状態のこと。

まとめ

四十九日は故人を偲び、冥福を祈るための大切な場です。「よく知らなかった」からといってマナーに反した振る舞いをしてしまうと、肩身の狭い思いをしてしまうかもしれません。今回ご紹介した四十九日に関する基礎知識をはじめ、マナーやタブーについても知っておくとよいでしょう。

なお、なぜ四十九日の法要を行うことが重要なのか、四十九日に花をお供えする意味などについて、知恩院の僧侶大津さんにお伺いしたインタビュー記事もありますので、こちらもご覧くださいね。

四十九日には、
故人を浄土に送るための祈りを。【知恩院僧侶インタビュー】