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知っているようであまり知らない⁉~アサガオについて~




長かった梅雨の時期があけ、やっと夏らしくなってきましたね。
8月に入り、学生の方々は夏休みを満喫している頃でしょうか。
夏休みは、お祭りや海水浴など楽しいことがたくさん。
ただ、忘れてはいけないのが宿題ですよね。
そんな夏休みの宿題で、小学生の頃などに植物観察をされた方も多いのではないでしょうか。
今回は、夏の植物観察のお題として定番のアサガオについて、6つの視点からご紹介します。

目次

◆アサガオの歴史
◆緑のカーテン
◆名前の由来
◆種の皮が硬くて厚い理由
◆朝が分かる理由
◆ツルが巻きついていく理由
◆最後に

◆アサガオの歴史




浴衣の柄になるほど、昔から日本人と馴染みのあるアサガオ。
いったい、アサガオはどのように日本へやってきたのでしょうか。

・アサガオのはじまり
アサガオの原産国は中国だとされています。
中国では、もともとアサガオを観賞用ではなく、下剤として使っていたそうです。
中国でのアサガオとの関わりは、4世紀ごろに書かれた書物にもアサガオが記載されるほど、古くだったといわれています。
当時の中国では、アサガオはとても貴重なもので、牛と交換するほどの価値として取引されていたそうです。

・日本へ渡来
日本にアサガオが渡来したのは、奈良時代とされていています。
原産国の中国から伝わってきました。
日本に伝えられた当時のアサガオは,青色で小さな花だったそうです。
中国と同様に日本でも薬として活用されていましたが、次第に観賞用としても人気が高まっていきました。

・アサガオと万葉集



アサガオは万葉集にも登場しています。
その1首に、
「朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけり」
という歌があります。
現代語訳すると、
「朝顔は朝露を浴びて咲くというが、夕方の薄暗い光の中でこそ輝いて見える」
となります。
この歌からだと、一見アサガオが夕方にも咲いているようにも読み取れますよね。
でも、実際のアサガオが咲いているのは朝だけで、夕方にはしぼんでしまいます。
実は、ここに出てくるお花はアサガオではなく、キキョウなどの別のお花のことを指しているといわれています。
では、なぜアサガオと表記しているのでしょうか。
平安時代ごろまで、朝に咲くお花をすべてアサガオと呼んでいて、数種類のお花がすべてをアサガオと呼ばれていたのだそうです。
ちなみに、現在のアサガオという1つの種類として区別され始めたのは、平安時代からだと言われています。

・江戸時代のアサガオブーム



江戸時代は比較的に平和だったこともあり、釣りやお茶、園芸など様々な趣味が発達していったとされています。
その中でも園芸はとても人気でした。
特にアサガオの苗は当時、安価に手に入れることができ、品種改良が盛んに行われていました。
そんな江戸時代に起こった2回の大きなアサガオブームをお伝えします。

<1回目のアサガオブーム>
江戸時代末期の文化・文政期ごろからアサガオが1度目のブームになっていきました。
このブームのきっかけは、なんと1806年3月4日に江戸で起こった大火でした。
この「文化3年の大火」の影響で、現在の芝公園などを全焼させ、周辺は更地になってしまいました。
その火事の跡地に、アサガオを植えたところ、珍しい形のアサガオが咲いたのです。
今まで見たことのない珍しいアサガオは、人々の注目を集め、アサガオが人気になっていったのでした。
珍しいアサガオが咲いた理由は、
アサガオが突然変異を起こした説や、
植木職人が品種改良したアサガオを植えた説などが
あります。

<2回目のアサガオブーム>
2回目のブームが起きたのは、1回目のアサガオブームの熱が冷めていないころでした。
2回目のブームは1800年代中頃からと言われています。
当時は、アサガオの優劣を競う品評会が行われているほど人気でしたが、さらに人気になったのは1人の植木屋がきっかけでした。
その植木屋の名前は成田屋留次郎。
成田屋留次郎は「朝顔師」と自分のことを名乗って、アサガオの品種改良を行っていました。
そして、自ら園芸に関する書物も出版したり、アサガオ品評会を主催したりと、さらにアサガオのブームを盛り上げていきました。

江戸時代から観賞用としてとても人気になったアサガオは、明治時代になっても人気は衰えることなく、朝顔市などが行われるほどだったそうです。

◆緑のカーテン




アサガオは青色・紫色・赤色・ピンク色・白色など様々な色や柄があるものなど、色とりどりのお花を咲かせてきれいですね。
そんな色彩豊かなアサガオはヒルガオ科で、ツルを伸ばして周りのものに絡まっていくツル植物です。
アサガオは、ツルをどんどん伸ばして、多くの葉を付けながら成長していきます。
このツルが伸びていく性質を活用しているのが、緑のカーテンです。
小学校などで、窓際などに植物が覆っているのを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
緑のカーテンとは、窓や壁際に張ったネットなどにツル植物を這わせて、カーテンのように覆ったものです。
植物が日差しをさえぎることで室温の上昇を防いだり、葉から蒸発する水分で周りの熱を下げたりします。
そのため、アサガオなどの緑のカーテンは夏場の省エネ対策の1つになっているのです。

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◆名前の由来

和名は、朝の顔と書いて「朝顔」。
その名の通り、夏の朝に咲いているイメージがありますよね。
アサガオという名前は夏に毎朝、花を咲かせることに由来しています。
小学生の頃、夏休みにラジオ体操へ向かう途中でアサガオを見かけた方も多いかもしれませんね。
アサガオを英語圏では、「morning glory」と呼んでいます。
意味は、直訳すると「朝の輝き」。
英語圏でも日本と同じように、朝に咲いていることが名前の由来になっているのですね。

◆種の皮が硬くて厚い理由




アサガオの種は他の植物の種と比べて、硬く厚い皮に覆われていますよね。
これは、種の重要な役割が関係しています。
まず種は、良い環境で成長するために「悪い環境を耐える」という役割があります。
悪い環境とは、アサガオが成長する上で、気温が高過ぎたり低過ぎたりする場合や、乾燥が激しい時のことです。
アサガオはこのような環境から身を守るために、種を硬く厚い皮で覆っているのです。
また種の皮は、成長する場所を変える時や、生育地を広げる時にも役立っています。
自分からは動くことのできないアサガオが生育地を広げるためには、他の生き物の力を借りる必要があります。
動物に食べられることで、からだの中で運んでもらい糞と共に排出してもらう必要があります。
糞として排出されるまでに硬いく厚い皮を持った種は、消化されにくくする役割を担っています。
そのため、アサガオは動物の体内で溶けることなく遠い距離を移動することができ、生育地域を広げることが出来るのです。
次に、「成長しやすい場所を確認する」という役割があります。
硬い皮が柔らかくなるためには、多くの水分が必要になります。
アサガオは、成長に十分な水分が無いと硬い皮を破って根を張ることはありません。
言い方を変えれば、硬く厚い皮が柔らかくなる場所は、成長するために十分な水分がある場所と言えるのです。
十分な水分がある場所は、しっかりと根を張って成長することができます。
このように、アサガオの種の硬く厚い皮は、しっかり成長できるのかを判断しているのです。

◆朝が分かる理由

アサガオは朝に咲いて、夕方はしぼんでいますよね。
なぜアサガオは朝が来たことが分かるのでしょうか?
実は、朝の光で目を覚ますように咲いているアサガオですが、アサガオが咲くためには光のない時間が関係しています。
実は、アサガオが咲く時間を決めているのは朝の光ではなく、夜の光が当たらない時間なのです。
アサガオの性質の1つに、アサガオに光が当たらない時間が約10時間に達すると花を咲かせるという性質があります。
夏の季節は、太陽が沈んでから10時間後が、ちょうど朝になるということなのです。
そのため太陽が沈んで光が当たらなくなってから、約10時間後には朝でなくてもアサガオは咲いてしまうのです。
その反対に、電気などでアサガオのつぼみに光を当て続けると、つぼみは成長し大きくはなりますが、咲くことは無いのだそうです。

◆ツルが巻きついていく理由




アサガオのツルが伸びるに合わせて、支柱を立ててあげたことのある方は多いのではないでしょうか。
アサガオは支柱として立てた棒などに、ツルをどんどん巻き付けていきますよね。
では、どうして支柱や棒、ネットなどにアサガオのツルは巻き付いていくのでしょうか。

試しに、アサガオのツルの先端を見てみると、真っすぐ伸びているように見えますよね。
しかし、アサガオのツルは上から見ると先端を左回りに、円を描きながら巻き付くものを探しているのです。
円を描くスピードは、1時間に1回転くらいと言われています。
このアサガオの描く円の範囲に棒やネットなどがあった時、ツルがそれに接触すれば巻き付いていくという仕組みなのです。

「アサガオは接触しているという刺激を感じる」ことができ、ツルには接触したことを感じると「太く短くなる」という性質もあるのです。
例えば、7~10日間アサガオのツルを親指と人差し指で挟み、こすっているとツルは太くて短くなっていくそうです。
ツルは、こすればこするほど接触しているという刺激を感じ、太く短く変化していくのです。
この性質こそ、ツルが棒などに巻き付いていく秘密を握っていたのです。



アサガオのツルが棒などに触れる場合、接触するのは1本のツルの片側のみです。
ツルの片側が棒などに接触すれば、ツルの接触した面は、接触していない面よりも、「接触しているという刺激」を感じて、厚く短くなっていきます。
言い換えると、接触している側面としていない側面を比較すると、接触していない側面の方がより伸びていくのです。
すると、アサガオのツルは接触した側面を内側にして巻き込むように、伸びていくことになります。
そのためアサガオは、近くにある棒やネットに巻き付くように成長していくことが出来るのです。
すなわち、ツルが巻き付くのは接触しているツルの内側と外側の伸びるスピードの差が関係していたのですね。

もし、アサガオのツルの伸び方の違いを確かめてみたくなったら、何かに巻き付いているツルをほどいて伸ばしてみてください。
巻き付いている状態では分かりにくいですが、ほどけたツルは円を描くようにバネのような形になっていることが確認できると思います。
このツルは、ほどいて机の上に置いてみても紐のように真っすぐにはならないため、接している物があった面と、そうでない面の伸びるスピードに違いを感じることが出来ると思います。

ちなみに、どうしてツルが巻き付いているものから滑り落ちないのかをご存じですか。
大きな理由は2つあります。
1.強く巻き付きながら、アサガオが成長していくため
2.アサガオのツルにはたくさんの細かい毛が下向きに生えていて、下に滑り落ちことを防いでいる
ということがあげられます。
近くにアサガオが咲いている方は、ぜひツルを触ってみてください。
ふわふわした感覚を感じることが出来ると思いますよ。
アサガオは巻き付いたものから落ちないように、一生懸命工夫をしているのですね。

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◆最後に




今回は夏を彩るアサガオについてご紹介しました。
身近で親しみを感じるアサガオですが、あまり知られていないことも多いものですね!
ちなみに、アサガオはご紹介したように、特に日本で品種改良が盛んに行われていました。
その影響で、アサガオは世界的に見てもめずらしいほど形や色などが豊富になった園芸植物の1つと言われています。
江戸時代の方々の園芸技術の高さに驚かされますね。
現在でも、アサガオは遺伝学の研究材料として活用されているそうです。
まだまだ見たことのないアサガオが誕生するかもしれないと思うと、わくわくしますね。

ぜひアサガオを見かけた際は、お花だけではなく、ツルや種にも注目してみてください。
今まで気づかなかった、発見があるかもしれませんよ。

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2019-08-02 | Posted in , 花と文化No Comments » 
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