2014-07
8月生まれのあの人に ~8月の誕生花・トルコキキョウ~
各地で猛暑が続く今日このごろ。見た目にもさわやかなものを楽しんで、少しでも暑さを忘れたい時期ですよね。人間だけでなく、普段は日光が大好きな花も、夏の強烈な暑さと日差しでは弱ってしまうものも…。
ですが、さわやかな気品を持ちながらも、暑さに負けず咲き誇る花もあります。8月の誕生花はそんな暑い夏にぴったりな花・トルコキキョウです。
■トルコもキキョウも関係ない花・トルコキキョウ
トルコキキョウという名前で勘違いされがちではありますが、原産地はトルコではなく北アメリカの乾燥地帯の花です。また、キキョウ科ではなくリンドウ科に属する花なので、実をいうとトルコもキキョウもあまり関係がありません。
ではなぜこの花がトルコキキョウと呼ばれるのでしょうか。これには諸説あります。
「トルコ」の部分は花、またはつぼみがトルコ人のターバンの形に似ているから、というものや、花びらの深い青色がトルコ石のようだったから、という説があります。また、外国からやってきた花のため、漠然と「トルコ」をあてた、という説もあります。
「キキョウ」の部分は花がキキョウに似ているから、という理由があります。「トルコ」の部分と比べるとこちらの理由に関しては明確ですね。
勘違いされることを避けるためか、最近ではユーストマやリシアンサスと呼ばれることも多くなってきました。
■トルコキキョウはほとんどが日本うまれ
トルコキキョウが日本に入ってきたのは大正から昭和にかけてといわれています。その頃は農家の間で細々と育てられているだけで、市場に出回ることはほとんどなかったようです。
世界大戦の影響により海外では多くの品種が絶えてしまう中、日本では少ないながらもトルコキキョウが生きのこりました。これがのちのトルコキキョウ栽培の基礎となります。
戦後、昭和40代ごろになると日本で本格的な栽培と品種改良が活発となり、トルコキキョウ生産の中心は日本となりました。もともとの紫色だけでなく、白色や桃色、グラデーション模様がうまれ、また花びらのつけかたも一重から八重まであります。
現在でも出回っている品種のほとんどは日本産となっており、ヨーロッパやアメリカなどで高い評価を得ています。
■8月生まれのあの人に、トルコキキョウを
「優美」「清々しい美しさ」「希望」などの花ことばをもつトルコキキョウ。可愛らしさと上品さをあわせ持つ花の姿もあって、お祝いごとにはぴったりです。
気品のある花なので女性にとても人気ですが、夏の暑さにも負けず比較的長い間花を咲かせ続ける強い一面もある花のため、明るく元気な男性に贈ると意外と喜ばれます。
届いてそのまま飾ることのできるウッドバスケットアレンジなら、花瓶を持っていない方でも手軽に飾ることができて便利です。
普段は花を飾ることのない方に、ちょっとしたサプライズとしてトルコキキョウを贈ってみてはいかがでしょうか。素敵な夏の誕生日になること間違いなし、ですよ。
観葉植物のお手入れ入門 その3 植え替え ~お花*あれこれ事典~
観葉植物のお手入れ入門もいよいよ3回目となりました。今回お伝えするのは、頻繁におこなうわけではありませんがとても大事な「観葉植物の植え替え」についてです。
観葉植物にとってベストな置き場所を見つけ、時間をかけて正しい水やりの仕方を身につけたのに、根づまりに気づかず枯れてしまった…なんてことにならないためにもぜひとも覚えて実践してみてくださいね。
>観葉植物のお手入れ入門①はこちらから
>観葉植物のお手入れ入門②はこちらから
■なぜ植え替えが必要なの? 植え替えの基本
観葉植物が大きくなってきたら植え替えが必要となってきます。ずっと同じ鉢で育てていると、根が鉢の中でつまり観葉植物の生育が悪くなる、土の中の養分が消費しつくされてしまうなど、問題が多々あるからです。どんなに期間をあけても2年に1回ほどはおこなうようにしてください。
ただし、土から腐臭がしたり、鉢から根が何本も飛び出したり、根ぐされを起こしているときはできる限り早めに植え替えます。そのまま置いておくと観葉植物が枯れてしまうことも少なくありません。
植え替えをする時期は1年のうちでもっとも観葉植物が元気な5~6月ごろが最適です。真夏は熱帯原産の観葉植物といえども暑さで弱りがちなので避けたほうが無難です。また、真冬の植え替えは致命的なストレスになりかねないので厳禁です。秋のうちから観葉植物は冬を越す準備をはじめるので、遅くとも9月が限度となります。
■植え替えの実践
まずは観葉植物を鉢から引き抜きます。観葉植物が大きくなりすぎ、根がつまっているときはなかなか抜けませんので、足で鉢の側面を蹴って隙間をつくりながら抜きます。どうしても無理であれば鉢をハンマーなどで叩き割る方法もあります。
鉢から観葉植物が抜けたら古い土を根からふるい落とします。だいたい3分の1ほど落とせばじゅうぶんです。きれいに落とそうと頑張りすぎたあまり根を傷つけてしまった、ということがないように気をつけましょう。
1回り大きな鉢の底に、水はけをよくするためと土が流れ出ないために石を敷き詰めます。更にその上から新しい土を半分ほど入れ、その上に観葉植物を植えかえます。新しい土は観葉植物用のものがホームセンターなどで販売されているので、それを使えば問題ありません。
植え替え後は観葉植物も根にダメージを負っているため、2週間ほどは肥料をやらず、水やりも控えめにしましょう。直射日光や風があたらない穏やかな環境で観葉植物を休ませてあげると◎です。
■おすすめ観葉植物③ オーガスタ
今回おすすめする観葉植物はオーガスタです。非常に寒さにつよく、5℃程度なら越冬できます。室内で育てるなら気温はまず問題ないでしょう。
根がよく成長する観葉植物なので、植え替えは鉢から根が出ていたら必ずおこないます。そのまま置いておくと、枯れるどころか鉢を壊してしまうこともあります。
観葉植物のお手入れ入門は今回が3回目となります。すでに何度かお伝えしているとおり、観葉植物の種類によってはことなるお手入れ方法が必要となります。
まずは花だよりでも紹介した手軽に育てることのできる観葉植物からチャレンジし、慣れてきたら様々な観葉植物を育ててみてください。
お部屋を緑でいろどり、素敵な毎日をおくってくださいね。
観葉植物のお手入れ入門 その2 水やり ~お花*あれこれ事典~
観葉植物のお手入れ入門、2回目のポイントは「正しい水やりのしかた」についてです。
「え、水やりに正しいなんてあるの?毎日欠かさずやれば大丈夫でしょ」なんて思っている方は大間違い。水やり3年という言葉があるくらいとても難しいものなんですよ。
観葉植物と末長く付き合っていくためにも、正しい水やりの基礎を学んでいってくださいね。
>観葉植物のお手入れ入門①はこちらから
>観葉植物のお手入れ入門③はこちらから
■水やりは土が乾いてから
間違った水やりの方法は観葉植物を枯らしてしまう最も多い原因といわれています。枯れてしまうのをおそれ1日に何回も観葉植物に水をあげる人がいますが、これはNG。わたしたちが喉がかわいていない時に水をむりやり飲むと苦しくなるのと一緒です。
観葉植物に水をあげる時のポイントとして、タイミングは土がかわいてからがいいでしょう。土の中に第一関節のあたりまで指を入れてみて、水気を感じられるようであればあげなくても大丈夫です。特に冬場はあまり水を与えすぎると観葉植物は寒さに対して弱くなってしまうので、土がかわいて2~3日置いてから水を与える程度でもOKです。
水をあたえる時は、観葉植物の鉢の底から水が出てくるまでたっぷりとあたえるようにしてください。土の中の隙間を水が流れると空気の入れ替えをすることができ、観葉植物の根が元気になります。なお、鉢皿にたまった水は根ぐされの原因となってしまうためきちんと捨てましょう。
水やりは基本的に日中を避け、朝におこなうようにします。特に夏は日光で水が温められ、観葉植物の根が煮えてしまうおそれがあります。観葉植物の葉がしおれているなど見るからに元気がない場合を除き、土が乾いていても夕方まで待ちましょう。
■もう1つの水やりの方法・葉水
植物は根だけでなく葉からも水を吸収することができるので、ときおり観葉植物の葉に霧吹きで水をかけ湿らせてあげます。これを葉水(はみず)といい、観葉植物を育てるときにとても役立つテクニックのひとつです。
葉水の効果は乾燥によるしおれを防ぐだけでなく、観葉植物にとって大敵であるハダニやうどんこ病などの病害虫の予防にもなります。また、ホコリなどの汚れを落とすことで観葉植物にとって大事な見栄えもよくなります。
サボテンなど本来乾燥している地域が原産の観葉植物ならあまり必要はありませんが、その他の観葉植物では葉水をおこなうことが必須です。室内の湿度が60度を下回っている場合や、観葉植物を戸外で育てている場合は積極的におこないましょう。
先述のとおり冬場は水やりの頻度を少なくした方が観葉植物は寒さに対して強くなりますが、空気が乾燥しがちな季節なので1日に1回程度は葉水をおこなってください。
なお、葉水の一番の目的は観葉植物の周囲の湿度をあげることにあるので、葉の上に水滴ができるほど水をかける必要はありません。
観葉植物の水やりの基本は以上になります。冒頭でもお伝えしたとおり、水やり3年と呼ばれるほど水やりは非常に難しいものです。まずは基本をしっかりと身につけたうえで、観葉植物の種類や状況に応じた水やりの仕方を実践してみてください。
■おすすめ観葉植物② モンステラ
今回おすすめする観葉植物はモンステラです。不規則な切れ目が入る独特な葉が人気の観葉植物ですね。日陰を好むので、室内でそだてるには最適の観葉植物です。また耐寒性も高いので水やりに気をつければ冬を越すのは難しくありません。
基本どおり春から秋にかけては水をたっぷりとあげ、冬は土を乾燥気味にしましょう。高い湿度を好む観葉植物なので、こまめな葉水も忘れずに。
次回は数年に1度の大仕事、「観葉植物の植え替え」についてお伝えします。
観葉植物のお手入れ入門 その1 設置場所 ~お花*あれこれ事典~
部屋の中に緑を取り入れるために観葉植物を育ててみたのはいいけれど、育て方が分からずすぐ枯らしてしまう…なんて経験をした方は意外と多いのではないでしょうか。中には「もう観葉植物なんて育てない」とさじを投げてしまった方もいるかもしれません。でも、実はちょっとしたポイントさえ押さえれば観葉植物を育てることはさほど難しくありません。
今回からは観葉植物のお手入れ入門として、全部で3回にわたってポイントをお伝えします。1回目のポイントは「観葉植物を設置する場所について」です。観葉植物が枯れた時は不幸を吸ってくれた時なんてウワサもありますが、育て方のコツさえ覚えれば観葉植物もあなたも末長く幸せになれますよ。
>観葉植物のお手入れ入門②はこちらから
>観葉植物のお手入れ入門③はこちらから
■できるだけ明るいところに置く
観葉植物を置く場所はできるだけ明るいところにしましょう。観葉植物の種類によって日ざしを好むもの、日陰を好むものがありますが、成長には光が不可欠ということはどの観葉植物にも変わりがありません。南向きの窓ぎわなどが好ましいですね。
ただし、日当たりがいいところを好む観葉植物でも、真夏の強い日差しでは葉焼けしてしまうおそれがあります。また、購入したばかりの観葉植物は直射日光に慣れていないことも多いです。室内でも、レースのカーテンごしの光をあてて育てる程度がちょうどいいでしょう。
観葉植物を戸外で育てる場合は、夏の間は遮光ネットをかけるのも1つの手です。遮光率30~50%程度のものを使うだけで観葉植物の葉焼けを防ぐことができます。
葉や新芽は光があるほうへ伸びようとするので、窓際に置いていると片側だけが成長してしまい不格好になってしまいます。時々鉢を回してまんべんなく光をあてるようにすると観葉植物はきれいな形に成長します。
■風通しのいいところに置く
空気の流れがわるいと病気がおこりやすいので、観葉植物を風通しのいいところに置いてあげるのもポイントの1つです。ですが、冷暖房の風のような人工的な風が観葉植物にあたるところは避けたほうが無難です。
特に観葉植物は熱帯原産のものが多いので、寒い時期は観葉植物のために暖房の風を直接あてて暖める…ということをする方もいると思いますが、これは厳禁。葉が乾燥で弱ってしまいます。葉が常に揺れ動いているような場所に置くのは避けてください。
観葉植物が元気に育ちすぎ、見事に生い茂った葉のせいで風通しが悪くなってしまうということもあります。観葉植物がもっとも勢いよく育つ5~7月の間に、剪定(余分な葉や枝を切り落とすこと)してあげるといいでしょう。
■頻繁に動かさない
観葉植物にかぎらず、植物とは本来根を張った場所からは動かないもの。頻繁に置く場所を変えると環境変化によるストレスで弱ってしまいます。ちょうどいい場所がきまったらなるべくそこから観葉植物を動かさないようにしましょう。
とはいえ、戸外で観葉植物を育てている場合は話は別。冬の間は戸外に置いたままだと寒さで枯れてしまいます。耐寒性の高い観葉植物も中にはありますが、寒くなる前に、具体的には気温が15℃を下回らないうちに室内に入れてあげます。
すでにお伝えしたとおり、室内では観葉植物を日当たりがよく風通しもいいところに置いてあげてくださいね。
■おすすめ観葉植物① パキラ
いかがでしたでしょうか。観葉植物も生き物、置く場所1つで元気になることもあれば枯れてしまうこともあります。特に大きな観葉植物は、購入する前に置き場所をつくっておいたほうがスムーズに観葉植物をむかえることができるでしょう。
最後になりましたが、今回おすすめする観葉植物はパキラです。丈夫な観葉植物であるパキラは、観葉植物にはじめてふれる方でも安心して育てることができます。耐寒性も比較的高いので、あまり細かいことを気にせず日当たりのいい窓辺に置いてあげれば元気にすくすくと成長するでしょう。葉が過度に生い茂ってしまいがちなので、剪定は忘れずに。
次回は意外と知らない、「正しい水やりのしかた」についてお伝えします。ご期待ください。
お盆 ~故人と先祖を敬う日~
7月にお盆、と聞くと多くの方が「えっ、お盆って8月じゃないの」と驚くのではないでしょうか。じつはもともとお盆とは7月15日前後におこなわれていました。七夕の記事でもほんの少しだけ触れましたが、古来の七夕はお盆の前準備としての側面ももっていましたのがその証拠ともいえます。
しかし、現在のお盆は8月15日前後におこなわれるのが全国的になっています。今回はそんなお盆の歴史と移りかわり、そして花贈りのマナーについてお話ししたいと思います。
■お盆のなりたち
お盆の語源は盂蘭盆会(うらぼんえ)という仏教の故事にもとづいています。釈迦の弟子であった目蓮(もくれん)は自分の母親が地獄に落ちくるしんでいると知ってしまい、釈迦の教えに従い僧侶に食べ物をほどこし供養したことで母親を救ったとつたえられています。
この故事にならい、食べ物などをお供えし故人や先祖を供養するようになったことから、お盆は一般的に仏事とされています。
ですが、盆踊りや迎え火・送り火など、日本の「お盆」の成立や風習には神道の考えかたも深くかかわっているとされています。あまり知られてはいませんが、神社でもお盆の時期には先祖供養の行事をおこないます。
また、おなじ仏教で見比べたとしても、宗派や地域によって風習やしきたりがことなっています。ただし、お盆の時期には親戚一同集まり、ご先祖様を尊ぶという点については、風習やしきたりが違うとしてもかわりがありません。
■地域ごとにことなるお盆の時期
旧暦を使っていたころの日本では、お盆は7月13~16日に行われていました。江戸時代から明治時代へとうつり、旧暦から新暦へとかわって以降は、月遅れのお盆である8月13~16日が全国的となりました。今でも7月にお盆を行う地域は関東圏を中心とした一部の地域と、北海道などにかぎられています。
なぜ地域によって時期がずれたのかには「新暦になるとお盆の時期が農作業の繁忙期とかぶってしまう。それをさけるため、地方は1月おくらせた」「地方と都市圏のお盆をずらすことで、親戚一同が集まりやすくなるようにした」など、諸説あります。
また、ご先祖さまを大切にあつかう風習が強くのこっている沖縄では、現在でも旧暦の7月15日を中心としてお盆がおこなわれています。
これを整理すると、「関東圏や北海道などの一部地域は新暦7月13~16日」「全国的には新暦8月13~16日」「沖縄は旧暦7月15日」の3パターンに分けられます。しかし、あくまでおおまかな分けかたなので、地域によってはことなる時期にお盆を行っているところもあります。
■お盆に贈るお花のポイント
7月をお盆とする地域は限られているため、贈り先の風習をあらかじめ確認しておく必要があります。また、お花はお盆に入る前日、7月12日に届けるのが最適です。
贈るお花は白でまとめた花束・アレンジメントが基本となりますが、淡くやさしい色合いでまとめたり、故人が好きだったお色でまとめるのもいいですね。
ご仏前としてご自宅へお届けする場合は、5,000~10,000円の花束やアレンジメントを贈るのがいいでしょう。故人を偲ぶメッセージを添えれば、ご遺族を思う気持ちもつたわります。
どんなお花を贈るか迷ったときはお花のプロである花店におまかせすれば、地域の風習に合わせたお花をお届けします。
故人が亡くなられて四十九日の忌明けがすぎた後、初めてむかえるお盆を「新盆」または「初盆」といいます。四十九日をむかえる前にお盆の時期になった場合、新盆は翌年のお盆となります。
新盆は亡くなられてから初めて故人の霊が里帰りする日なので、法要をとりおこない盛大にもてなします。このため、新盆の法要には気品とはなやかさを兼ねそなえた、そのまま飾れる供花台つきアレンジメントがオススメです。
急いで届けたい場合は、午前中の注文で当日お届けができるお供え用の胡蝶蘭もいいでしょう。こちらも届いてそのまま飾れるため、お届け先様のお手をわずらわせることがありません。
どちらを贈る場合でも、御名札をたてるのを忘れないようにしてください。
星に願いを ~七夕の昔と今~
7月の大きなイベントといえば七夕。皆さんもご存じのとおり、おりひめとひこぼしが年に一度だけめぐり合う日とされています。毎年ササやタケに願いをかけた短冊をつるしている方も多いのでは。
今回は七夕のルーツと、現代の七夕についてお伝えしたいと思います。
■七夕の歴史
七夕のルーツは古くから日本で行われていた棚機(たなばた)という神事と、中国の織女星(おりひめ)と牽牛星(ひこぼし)の伝説が合わさってできたものといわれています。
棚機は乙女が着物をおり、棚にそなえることで神様をむかえ、秋の豊作を願いけがれを払うという行事です。はたおり役に選ばれた乙女は棚機女(たなばたつめ)とよばれ、清い水辺にたてられた機屋(はたや)にこもってはたおりを行いました。
また、このはたおりにもちいる道具も棚機と呼びます。のちに仏教が伝来するとお盆をむかえるための準備とされ、7月7日の夜に行うものとされました。
現在でも七夕と書いて「たなばた」と読むのはこの神事がもととなっているからといわれています。
■七夕ものがたりと願いごとの始まり
まず、おりひめとひこぼしの伝説をおさらいしてみましょう。
天の神様の娘、おりひめは、はたおりの上手な乙女でした。しかし、年頃になっても身なりを気にせずはたおりに没頭しているばかり。恋愛ごとにもまるで興味をもちません。
そんなおりひめをうれいた神様は、真面目に農業に励むひこぼしという青年を気に入り、おりひめと結婚させました。二人はひと目でお互いを好きになり、とても仲のいい夫婦となりました。
…が、それからの二人は遊んでばかりで仕事をしなくなってしまいました。これに怒った神様によって二人は天の川をはさんで引き離され、お互いの姿を見ることさえできなくなってしまいます。
あまりに嘆き悲しむ二人を見て憐れんだ神様はきちんと働くことを条件に、年に一度、7月7日に再会することをゆるします。二人は心を入れ替えて以前のように真面目に働き、七夕の晩の再会を楽しむのでした。
古代の中国でははたおりの天才であるおりひめにあやかり、7月7日に手芸が上達するようにと願う乞巧奠(きこうでん)という風習がありました。この風習は平安時代までには日本にもつたわり、貴族たちの間でカジの葉に和歌を書いて願いをかける行事となります。
江戸時代になると、七夕に願いをかけるという行事は庶民の間にもひろがります。当時は習いごとが身分にとらわれず浸透していたため、おもにその上達を願って、短冊を笹や竹につるすようになりました。さらに時代をくだるにつれて習いごとの上達だけでなく、さまざまな願いをかけるようになったのです。
現代の日本では、様々な願いがこめられた短冊と、その短冊がつるされた竹や笹を日本各地で見ることができますね。
■七夕には想いを伝えるお花を
おりひめとひこぼしが年に一度再会する記念日である七夕。願いごとをかけるだけでなく、おりひめとひこぼしの二人にあやかり、意中の相手に想いを伝えるという人も多いようです。
遠く離れた相手にも、いつも一緒にいるあの人にも、普段は照れくさくて言うことができない言葉をかけるには絶好のチャンス。おりひめとひこぼしも空から恋人たちを見守ってくれているはずです。
大切なあの人への想い、お花に乗せて贈ってみませんか。