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母に花を贈り続けている私たちーchiikoさんの敬老の日エッセイ

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母は花が好きだ。
確か、一等好きなのはシクラメン。
いつから好きなのか、いつ好きと言われたのか、もう全く覚えていない。

自営業の父と共に何十年も力仕事をしてきた母は、物欲が全くと言っていいほどなかった。「アクセサリーやバッグ、欲しくない?」と聞いても、「私じゃなくて自分に使って」と言う母だった。

そんな母だから、誕生日などのイベントごとのプレゼント選びはとにかく困難を極めた。きっと何をあげても喜んでくれるけど、逆に言うとなんでも良いということだった。

そんな中でもプレゼントとして間違いなかったのは、お花。

贈り物として定番の花をプレゼントしていれば間違いなかったのだ。間違いなかったという表現も少しモヤモヤしてしまうけど、本当にそれ以外手段がなかったのである。

毎年母の日や誕生日が近くなると、姉と一緒に駅前のフラワーショップに行き、ギフト用の花を買うことが恒例行事だった。

自分が働き始めてから、母が気に入りそうなブローチを買ってプレゼントしたこともあったけど、「もったいなくて使えない」「失くすのは絶対に嫌」としまいこんでしまったので、それからまた花を贈るようになった。

正直、毎年毎年花ばかりあげてマンネリ化しているのでは?という気はしていたけど、やっぱり私は花を贈り続けていた。

母も花をもらうのに飽き飽きしているだろうに、と思っていたけれど。

2018年、私は息子を出産した。初めての育児は想像以上に眠れない、休めない、気が抜けない。

少しでもよそ見すると命を落としかねない乳児との生活はとにかく慌ただしくて、知らない間に時は流れ、気づけば息子は1歳になろうとしていた。

ある日、息子と買い物に行くと、店内の一角に小さなフラワーショップがあった。ドライフラワーやブーケ、スワッグ、リースなどの雑貨も置いてある、こぢんまりとしたお店の中で、私と息子は500円ほどの小さな花束を見つけた。

いろんな種類の花が、数本入っているだけの小さな花束。特に記念日などではないけれど、ふと思い立った。

息子に好きな色を選んでもらった。確か水色のラッピングに、鮮やかなガーベラが入っていたと思う。小さな花束が入ったビニール袋を息子に握らせて、私と息子は母の元へ向かった。

今でもその時の光景ははっきり覚えている。

私の実家の前に着き、母に電話して家の前へ出てきてもらった。
私に抱えられた息子が、袋から出した花束を握りしめ、母に差し出すと、母の表情はリボンが解けるように緩んで、それから涙を流した。

小さな息子が、小さな手で握りしめた花束が、鮮やかなガーベラの花が、全てが愛おしくてたまらなかったそうだ。母は何度も何度も「ありがとう」と言って息子を抱きしめた。

小さな花束はその日からしばらく、実家のダイニングのいちばんよく見える場所に飾られた。花瓶替わりのグラスに水を張って、ラッピングごと生けていた。

……生けていたせいで、こんなことが起こった。

ドライフラワーにする、写真に残すという手段がなかった高齢の母。
目が悪くてラッピング部分にカビが生えていることにも気付いていなかった。
結局、母は小さな花束に思わぬ形で別れを告げることになったが、それからも私は、息子と一緒に母に花を贈り続けている。

母に欲しいものを聞くと、「花を贈ってもらいたい」と言ってくれるようになったから。

大きくなった息子は、自分で贈りたい花を選ぶようになり、ラッピングの色を決め、たまに引きずるけど、あの日より大きな花束を両手に抱えて歩けるようになった。 (花束と間違えて仏花を選んだこともあったけれど、母には黙っている。)

今は「花なら間違いないだろう」という気持ちはない。
「花を贈ってあげたい」という気持ちに変わっている。
むしろ毎年成長する息子と共に花を選ぶのが、楽しみの1つとなっている。

今年も私は、息子と花を買いに行く。
ピンクがいいかな、カードはつける?シクラメンの鉢を贈るのもいいね、なんて話しながら。

そしてきっと母はまた、初めてもらったみたいに涙を流して、息子を抱きしめるのだ。

chiiko

著者:chiiko(Instagram:@gumamasan1 
Twitter:@gumamasan1

2018年春生まれの男の子、ぐっちゃんの成長記録を漫画にして残している。各メディアで連載中。著書「ぐっちゃんママ、はじめました 赤ちゃんといっしょ(高橋書店)」「ツッコミ育児、はじめました ぐっちゃんといっしょ(高橋書店)」「こんなはずでは系育児(竹書房)」

編:小嶋らんだ悠香

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