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お彼岸は一日一善!?
浄土を目指す強化週間の
過ごし方
【知恩院僧侶インタビュー】

お彼岸は一日一善!? 浄土を目指す強化週間の過ごし方【知恩院僧侶インタビュー】

春と秋のお彼岸には、「お墓参りをする時期」というイメージを持っている方が多いかと思います。それも間違ってはいないのですが、実はお彼岸はご先祖様に手を合わせるだけの期間ではなく、浄土を目指すための自らの修業期間でもあるのです。

そこで今回は、お彼岸の意味や過ごし方、お供え花の知識などについて、知恩院の僧侶であり、華道家でもある大津憲優さんに教えていただきました。

2024年のお彼岸

秋彼岸:9月19日〜9月25日

秋彼岸:9月19日〜9月25日

※お彼岸には春彼岸と秋彼岸があり、春分の日の前後3日間が春彼岸、秋分の日の前後3日間が秋彼岸です。

また、お彼岸の初日を「彼岸入り(ひがんいり)」、真ん中の日を「中日(ちゅうにち)」、最終日を「彼岸明け(ひがんあけ)」と呼びます。

今回お話してくださった
住職 兼 華道家さん

大津憲優さん

大津憲優さん

  • 浄土宗修練道場・華道講師
  • 西雲寺第二十一世住職
  • 正念寺第三十八世兼務住職

知恩院の所属寺院に従事する傍ら、都未生流の華道講師としてもご活躍中

浄土の位置がイメージしやすい、お彼岸期間

お墓参り

――どうして、お彼岸の期間は春分・秋分の日の前後になったのですか?

仏教において、彼岸(仏の国である悟りの世界=浄土)は沈んだ夕陽の先にあるといわれています。春分の日と秋分の日は、太陽が真東からのぼり真西に沈むので、浄土の位置が分かりやすいんです。

より具体的に浄土の位置をイメージできると、「いずれ自分が亡くなった時もご先祖様と同じところへ」という憧れも抱きやすいですよね。

よってお彼岸の期間は仏教の教えを行うのに適していると、往生※1を願う人々によって仏道が盛んに実践されたのです。

※1往生:現世を去って仏の浄土に生まれること。

お彼岸は、ご先祖様に感謝し善い行いをする期間

彼岸花

――では、お彼岸とは何をするための期間なのか教えてください。

わかりやすく言うと、お彼岸とは「ご先祖様への感謝の供養とあわせて、私たちも同じ浄土へ往ける様に仏道実践を行いましょう」という期間です。

今、自分の命があるのは、たくさんのご先祖様が「命のバトン」をつないできてくださったからです。そんなご先祖様へ感謝の供養として、お墓やお仏壇に花そしてお供え物を供え、手を合わせましょう。

そして、いずれは私たちもご先祖様と同じところへ行けるように、善い行いを心がけてください。

お彼岸についてお子さんにもわかるよう伝えるならば、

「わかっていても、善いことを毎日するのは難しい……。では、せめて浄土の位置がイメージしやすい春と秋の一週間ずつだけでも、ご先祖様のことを想いながら、善いことをやってみましょうね」

このように説明してみてください。

日本独自!? お彼岸は「先祖供養」と「仏道実践」が合わさった風習

ぼたもち

――では、お彼岸期間中は具体的に何をするか教えてください。

冒頭にも少しお伝えしましたが、お彼岸には自分の命を紡いでくれたご先祖様に感謝しておこなう「追善供養※2」と、自分もご先祖様と同じ浄土へ行けるようお勤めする「仏道実践」の両面があります。この風習は仏教国であるインドや中国へ由来せず、平安初期に日本独自で始まりました。

※2 追善供養:生きている人が亡き人の為に善い行いを積み、冥福を祈って行う供養のこと。

――まず、ご先祖様への追善供養とは何をするのでしょうか?

ご先祖様への追善供養としては、墓参りをしたり、お仏壇に手を合わせたり、お寺で開催される彼岸会に参加したりするのが一般的かと思います。お供え花には春・秋それぞれ季節の花を、お供え物として春は牡丹餅(ぼたもち)、秋はおはぎをお彼岸初日(彼岸入り)から春分・秋分の日(中日)までの間に準備することが一般的です。日にちが決まっているわけではありませんので、ゆっくりと手を合わせられる日にお供えされる方が多いようです。

お彼岸は、ご先祖様への感謝の気持ちをもってお供養してあげてください。ご先祖様から伝えられた命の尊さをかみしめて、今ある自分を育んでくれた数多くの祖先への追善供養をするのと同時に、「自分たちもいずれはそちらにいけるようにしっかりと生きていきます」という気持ちでお勤めいただければよいかと思います。

お彼岸のお供え花はどうやって選ぶ?

滝に打たれないでOK!「 六波羅蜜」をやってみよう

「 六波羅蜜」をやってみよう

――続いて、もうひとつの「仏道実践」とは何を行うのでしょうか?

「仏教の教えを実践する」と聞くと、長時間座禅を組んだり、滝に打たれたりといった内容を想像するのではないでしょうか。しかし、そういった厳しい行いのみが修行ではありません。

お釈迦様は私たちが彼岸に到る方法として、「六波羅蜜」という六つの正しい実践方法を示してくださいました。

六波羅蜜(ろくはらみつ)
  • ①布施(ふせ):見返りを求めず、人に施しをすること
  • ②持戒(じかい):戒めを守り、規則正しい生活をすること
  • ③忍辱(にんにく):しのび、耐えること
  • ④精進(しょうじん):何事にもはげみ、努力をすること
  • ⑤禅定(ぜんじょう):常に落ち着て過ごすこと
  • ⑥智慧(ちえ):物事を正しくみること

本当は毎日これらの行いを実践していくのが理想ですが、現代を生きる私たちにとってはなかなか難しいことでもあります。

なので、「年に2度のお彼岸期間くらいは、仏様の教えを頑張って実践しましょう」「6つすべての実践が難しければ、たとえ1つや2つでもよいので生活に生かして過ごし、彼岸(浄土)を目指しましょう」ということなんですね。

実践! お彼岸期間の一日一善リスト

チェックリスト

――「六波羅蜜」を実践するには、何を心がければいいのでしょうか?

日常生活の中で、たとえ1週間だけでも毎日「六波羅蜜」すべてを実践するとなると大変だと思います。ですので、1日に1つずつ実践してみるのはどうでしょうか。

具体的には、彼岸入りとなる春分・秋分の日のそれぞれ3日前※から始めると、4日目に彼岸の中日を迎えることができます。

※2024年は3月17日と9月19日になります

1日目:「布施」:見返りを求めず、人に施しをすること

家族や友人・職場の人などに笑顔で挨拶をしてみましょう。にこやかな表情を人に与えることで、相手はもちろん自分自身も気持ちよく過ごせるようになりますよね。

2日目:「持戒」:戒めを守り、規則正しい生活をすること

「日常的に、“本当は止めた方がいいのにな”と思いながらもやっていること」を自制してみましょう。
毎日お酒を飲んでいる人はこの日だけは禁酒してみるなど、自制する心を持ちながら生活するといいですね。

3日目:「忍辱」:しのび、耐えること

普段なら腹が立つような出来事も、我慢して一度受け入れてみてください。自分も同じようなことを人にしていないかを考える良いきっかけになります。

4日目は春分の日・秋分の日にあたり、学校や仕事が休みの方も多いと思います。お墓やお仏壇で手を合わせて「先祖供養」につとめてみましょう。お寺での彼岸会もこの日にやっていることが多いですね。

お彼岸の期間にお供えしたい花の種類は?

5日目:「精進」:何事にもはげみ、努力をすること

自分が日頃頑張っていることに対して、損得勘定をいったん無しにして、「これは何のためにやっているのか」「自分のためだけでなく人のためになっているのか」を改めて考え直してみましょう。

6日目:「禅定」:常に落ち着いて過ごすこと

心を穏やかに保つよう意識してみましょう。毎日バタバタと忙しい人は、心の浮き沈みもあると思いますので、心の振れ幅を鎮めるために一日ぼーっと過ごしてみると良いかと思います。

7日目:「智慧」:物事を正しくみること

自分の感情や立場をなくして、フラットな立場で物事を判断してみましょう。

1つずつは簡単な事柄でかまいません。普段よりも少しだけ仏の教えを心掛けていただければ良いかと思います。一週間かけて「六波羅蜜」すべてを通して行ってみると、日常生活の振り返りができたり、自分を見つめ直すきっかけになったりするものです。

――4日目にお仏壇やお墓に花を供える場合、何が良いでしょうか?

名前に彼岸という言葉があるヒガンバナ(彼岸花)がおすすめです。しかし、春秋の季節のお花を飾れば良いですよ。お彼岸は、お供えでよく使われるような白・紫でまとめたアレンジメントや花束である必要性はありません。

嫌なことをいいますが、私たちもいずれは必ず亡くなりますよね。これは花を含めた、生きとし生けるものの定めです。ですので、命が終わったときに「私たちもご先祖様と同じところへいけるように、生きている今、善いことをして頑張りましょう!」という仏様の教えを実践する強化週間として、お彼岸の期間を過ごしていただければと思います。

まとめ

お彼岸は、命をつないでくれたご先祖様に感謝を込めた供養を行うとともに、自分自身の修行を実践してみる期間。「仏道実践」というとハードルが高いと感じるかもしれませんが、大津さんにご紹介していただいた方法であれば、小さな心がけで実践できそうですね。

あわせて、お彼岸のお墓参りのマナーやお供え花・お供え物の選び方などについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

お彼岸のマナーや起源、
やってはいけないNG行為はある?

お供えについてもっと知りたいと思った方は、こちらも合わせてご覧ください。
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他のコラムも読んでマナーやルールを抑えておきましょう。

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