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  3. お盆・2021年最新事情。精霊馬はブロッコリー、お花は自由?知恩院僧侶にインタビュー

2021年お盆事情
精霊馬はブロッコリー、
お花は自由に?

知恩院僧侶インタビュー

お盆を英語で何と呼ぶか、ご存知ですか?

答えは「Obon Holiday」「Obon vacation」など。

日本独特の行事であるお盆は、それを表す英語が存在しません。

そんな日本文化・お盆ですが、2021年は去年に引き続き、社会事情で実家への帰省が難しい方も多いのでは。

そこで今回は、2021年のお盆の過ごし方などについて、知恩院の僧侶であり、華道家としてもご活躍されている大津憲優さんに教えていただきました。

2021年のお盆

  • ①7月13日(火)~7月16日(金)
    旧暦7月盆のエリア(主に関東、東京・神奈川県、北海道の一部や石川県金沢市、静岡県など)
  • ②8月13日(金)~8月16日(月)
    新暦8月盆のエリア(北海道や東北、新潟県、長野県、関西地方など)
  • ③8月20日(金)~8月22日(日)
    旧暦盆のエリア(主に沖縄)

※上記は大まかな区分です

今回お話してくださった
僧侶 兼 華道家さん

大津憲優さん

大津憲優さん

浄土宗修練道場・華道講師

西雲寺第二十一世住職

正念寺第三十八世兼務住職

知恩院の所属寺院に従事する傍ら、都未生流の華道講師としてもご活躍中

2020年は、お寺にも大きな変化があった年

――昨年のコロナ禍でのお盆、お寺ではどのような変化がありましたか?

非常に変則的なお盆のお勤めになりました。特に「初盆(※)」のお勤めは様変わりしましたね。

初盆は、だいたいどこの家でもたくさんの親族が集まるのですが、昨年はご家族のみで参加されるケースや、私がお勤めしている様子を、ご家族がパソコンやスマートフォンなどで親戚の方につなぐケースもありました。

※初盆とは
故人が亡くなってから49日を過ぎた後、初めて迎えるお盆のこと。「はつぼん」または「ういぼん」と読む。

感謝は、想ってるだけではあかんのです

――今年もコロナ禍で、お盆の時期にご実家に帰れない人も多いかと思います。そういった方々が、自宅でできることはありますか?

ご自宅に精霊馬を飾ったり、お花を飾ったりするのはとても良いと思います。お仏壇や神棚がなくても大丈夫ですよ。

特にお花は、大切な方を偲ぶ想いが形になったものなので、良いですね。ご実家などにお花をお贈りするのも良いですよ。

感謝は、胸の内で想っているだけではあかんのです。形に表すことで、想いは初めて伝わりますし、深まりもします。それと同様に「形を作るから、想いが生まれる」こともありますよね。

精霊馬はキュウリやナスじゃなくても…

――先ほどチラっと話されていた精霊馬ですが、なぜキュウリやナスが使われているのでしょうか?

精霊馬は、ご先祖様があの世とこの世を行き来するときに使う乗り物として、私たちがご準備するものです。

キュウリは「ご先祖様が、お浄土から早く家に戻って来られるように」という意味を込めて、足の速い馬に見立てています。

一方でナスは「ご先祖様が景色を楽しみながら、ゆっくりとお浄土へ帰ってもらえるように」という心遣いから、歩くのが遅い牛として見立てているんです。

ただ、馬と牛が逆になる地域もあります。なので、極論ではありますが、ご先祖様への想いさえあれば大丈夫です。そのとき手に入れやすいもので作ってください。

――では、アスパラガスやブロッコリーもOKでしょうか……?

そうですね……(笑)アスパラガスは速く帰ってこれそうですし、ブロッコリーはお浄土に帰るときに手土産をたくさん載せられそうですね。

でも、ネギやニラなどの匂いのきつい、仏教で「気持ちを落ち着かなくさせる」と言われているお野菜は避けてください。

精霊馬の飾り方・マナーなど
「お盆の基礎知識」はこちらをチェック

僧侶に教わる、
お盆の基礎知識

お花の力で、命をゆっくり見つめ直す

――精霊馬はご先祖様の乗り物だということはわかったのですが、お盆にお花を供えるのはなぜでしょうか?

お仏壇やお墓に供える花は、仏様の慈悲の心を表しています。綺麗な花を見て、仏様の慈悲の心に触れると、やはり心が安らぐものなんですよね。心を穏やかにして、ゆっくりとご先祖様に想いが伝えられるように、私たちはお花をお供えをするのです。

また、お花は切り取られることによってその命を一度は終えますが、少量の水に養われて、時期がくるまで綺麗に咲き続けます。花と同じように、私達もこの世に生まれたと同時に死ぬことが約束されていますが、その時がくるまでは精一杯生き続けます。

「命には限りがあること。でも、その時がくるまで、花のようにしっかりと生きよう」と思い返す意味も込めて、お盆にお花を飾るのです。

――お供えするお花に地方ごとのマナーやルールもあるのでしょうか?

基本的には、どの地域でも身近な植物をお供えします。「盆花迎え」といってお盆の時期に仏前に供える花を山から摘んでくる地方もあるんですよ。

ただ、ご家庭、特にご年配の方のなかには、地域マナーを気にされる方がいらっしゃるケースもあります。細かいルールはその地域のお花屋さんが知っていると思うので、気になる場合は聞いてみると良いかもしれません。

檀家さんとアツアツのコーラの思い出

――お供えについて「お菓子は袋から取り出す」「果物は皮をむく」「ビールは栓を開ける」などの決まりはあるのでしょうか?

結論からいうと、そういったルールは一切ありません。そのままお供えしていただいて何も問題ありません。お供物は故人を偲び、思い出すことに意味があります。私達は物を通して亡くなった方を身近に思い出すことがありますよね。

――大津さんも、何か”物”がきっかけで、故人を思い出される経験があるのでしょうか?

私のお檀家さんで、もうお亡くなりになられましたが、お盆にお参りに行きますと、コーラを必ず出してくれるおばあちゃんがいました。当時の私が若かったので、コーラが好きだと思われたんでしょうね。

でも、そのまま出すのは失礼やと思ったんでしょうか、コーラを丁寧にアツアツにして出してくださるんです。私も最初はびっくりしましたが、年々慣れて普通に飲めるようになりました。

さすがに自分で温めて飲むことはありませんが、今でも夏場、生暖かいコーラを飲むと、やっぱりそのおばあちゃんを思い出します。

皆さまにも「あぁ、あの人、あれ好きやったな」「この銘柄のたばこ吸ってはったなぁ」と思い出された経験があると思います。ぜひ大切な人が生前好きやった物をお供えして、その供えた物を見て故人を身近に思い出し、偲んでみてください。

――精霊馬もお花もお供えも、結構自由でいいんですね……!

そうですね、一番大切なのは「感謝し、偲ぶこと」です。ただ、最初にも言いましたが、感謝は想っているだけでは伝わりません。精霊馬などでしっかりご先祖様をお迎えしてあげて、お花に感謝の願いを込めて、飾ってあげてください。

そのときにどのようなスタイルでするかは、それぞれの自由で大丈夫です。

お盆は、罪を犯した祖先へ感謝を示す行事でもある

――そもそもの質問になるのですが、お盆の由来を教えていただけますか?

お盆の由来は、『盂蘭盆経』というお経からきています。とても興味深い話なので、お話しますね。

昔、お釈迦様のお弟子の一人に、神通力第一といわれた目連尊者(もくれんそんじゃ)という方がおられました。

目連尊者はあるとき、神通力を使って「(亡くなってしまった)優しかったお父さんお母さんは今頃どうしてるんかな?」と、調べられました。

調べたところ、お父さんは極楽世界で幸せに過ごしておられましたが、お母さんの姿が見当たりません。何度も何度も極楽の隅から隅まで探しても、どこにも見当たりません。

もしやと思い、地獄の世界を探してみると、大切なお母さんは餓鬼の世界に落ちてもがき苦しんでいたのです。目連尊者は何とか助けようとしました。しかし、どうすることもできず、お釈迦様にご相談されました。

「お釈迦様、私のお母さんはとても優しい人だったのに、なぜ餓鬼界に落ちてしまったのでしょう」

お釈迦様はこう答えました。

「目連よ、お前のお母さんは、お前にとっては優しいお母さんだったかもしれないが、お前を守るために、時に他人を傷つけたこともあった。嘘をつくこともあった。だから餓鬼道に落ちてしまったのだ」

「……どうすればお母さんを助けることができますか」

目連が尋ねると、お釈迦様は

「7月15日、僧の修行が終わるそのときに、できるだけ多くの御供養をしなさい。そうすれば、その供養した“徳“によってあなたのお母さんは救われるでしょう」と言われました。

そして目連はそれを実行し、その報いとしてお母さんは餓鬼道から救われました。

これがお盆の由来です。

一般的に考えて、自ら罪を作ろうなんて思う人は滅多にいないですよね。でも、ついつい自分の子供を優先させたり、大切な人や大事な物を守るために罪を作ってしまう、それが我々です。

逆に言うなら、今、私達が毎日を平穏に暮らせているのは、父や母が自分のために罪を作ってくださったからこそではないかと思います。そういう想いで育ててくださった両親やご先祖様に改めて感謝するのが、お盆の行事だと思います。

だから、繰り返しにはなりますが、できることでいいので、ご先祖さまをお迎えして、ぜひ感謝を伝えてあげてください。

お盆事情まとめ

2021年に限らず、その年その年の事情によって、お盆の行事がしっかりできたり・できなかったりがある事かと思います。

そんななかでも一番大事なのは、ご先祖様や亡くなったご家族・大切な方のことを思い出し、偲び、愛と感謝を伝えること。

たとえ帰省ができなくてもお墓参りに行けなくても、精霊馬やお花で、想いを形にしてみませんか。

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