鏡餅に使う植物の意味~鏡餅の由来と願い~

鏡餅
あけましておめでとうございます
本年も花キューピットをよろしくお願いいたします。
正月シーズンということで、今回は鏡餅に使われる植物についてご紹介したいと思います。
年末から飾られることの多い鏡餅。
1月のカレンダーの挿絵などでも使われることがあるように、実物でなくても一度は鏡餅を見たことがある方が多いのではないでしょうか。
そんな馴染みのある鏡餅に使われている植物には、実は健康や長寿、幸運などの願いや祈りが込められています。
鏡餅に使われている植物を、改めて考えてみるのも面白いかもしれませんよ。

◆鏡餅とは?

鏡餅って何?
まず初めに鏡餅とは何なのかを、改めてご紹介したいと思います。
鏡餅とは、大小の丸い餅を2つ重ねたものです。
鏡餅は年神様(歳神様)が宿る特別なお供えとして、お正月に飾られる餅です。

餅の原料は米。
米は日本人にとって昔から大切なものであり、貴重なものでした。
貴重な米を使って作られた餅も、また特別なもののため、年神様にお供えされていたのですね。

◆鏡餅で使われている植物

ここからは鏡餅に使われている、植物についてご紹介したいと思います。
先にご紹介した通り、鏡餅で使われている植物にはそれぞれ願いや意味が込められています。
鏡餅と聞くと、その姿をイメージすることはできますが、それぞれの飾りについて込められた意味まで想像できる方は少ないのではないでしょうか。
ぜひチェックしてみてください。

<橙(ダイダイ)>

橙は縁起物
まずは橙からご紹介したいと思います。
橙は、鏡餅の上に乗っている小さなミカンのようなものです。
今までミカンと勘違いしていた方もいらっしゃるかもしれません。
橙は、ミカン科ミカン属の植物。
間違えてしまうくらいミカン似ている植物なのです。

そんな橙の実は、完熟してからも枝から落ちにくいことが特徴。
実を枝から収穫しなければ、2~3年も枝に残っていることもあるのだそうです。
そして枝に新しく実った果実も、先に実っていたものも、一緒に同じ木に長く実り続ける様子から、家族が健康に繁栄していくように見える、として鏡餅に飾られる縁起物になったと言われています。

またオレンジ色(橙色)だった実が、春になると再び緑色に戻ることから、「不老・再生」を連想させることも縁起物の1つになった理由なのだそう。

さらに、橙という名前が、「代々」の字をあてて「子孫繁栄」を連想させることも縁起が良いとされています。

<ユズリハ>

ユズリハは縁起物
ユズリハは、漢字表記にすると「譲葉(ゆずるは)」と書きます。
ユズリハは、新しい若葉が生えそろってから古い葉が落ちるように成長していきます。
春に新芽が出て、その次の春に新芽が出る時に、まるで古い葉が譲る様に落ちる様子から、親(古い葉)と子(若い葉)が世代交代を繰り返し「子孫繁栄」を願う縁起の良い植物となりました。

<裏白(ウラジロ)>

ウラジロは縁起物
細かい葉がたくさん付いているように見える、ウラジロ。
名前の通り葉の裏が白い植物です。
その見た目から心が潔白で、清々しいという意味や心の奥まで明るく照らせるようにという意味を持っていると考えられています。

そして、対に分かれてるように広がりながら成長していく葉が、夫婦円満を表しているように見えるとも言われています。
そんなウラジロは夫婦で仲良く白髪になるまで、幸せで過ごせますようにという願いも込められているとされています。

また、ウラジロには悪霊を払う力があるとも信じられているのだそうです。
そのためウラジロのデザインは、戦国時代の兜にあしらわれていたこともあるのだとか。
ウラジロは1枚の葉?
ちなみに、先に「小さな葉がたくさん付いているように見える」と、紹介しましたが実はウラジロはウラジロ科のシダ植物です。
シダは、土の中に茎があるため上のイラストに写っているすべて合わせて1枚の葉になります。
鏡餅をまだ自宅に飾っているという方は、ぜひウラジロをもう一度観察してみてくださいね。

<昆布>

昆布は縁起物
イラストなどでは省略されることもありますが、鏡餅に昆布を飾ることもあります。
昆布は「子生婦」とも表記されることもあり、子孫繁栄を表したり子宝に恵まれるようにと願いを込めたりするため飾られています。
さらに昆布は「喜ぶ」や「養老昆布」に通じることからも縁起が良いと言われています。

また古くは昆布を「広布(ひろめ)」と呼んでいたことから、広布と昆布をあわせ「喜びをひろめる」という意味を持ったり、「恵比須目(えびすめ)」とも呼ばれていることから七福神の恵比寿様に通じたりと、とても縁起の良いものとされているのです。

<串柿>

串柿は縁起物
串柿とは、干した柿を串に刺したものです。
昆布と同じく、串柿も鏡餅に飾られることがあります。
串に刺さっている柿は、渋柿です。
渋柿に手間を加えることで、甘く美味しく食べられるようになることから、日々の努力は報われるということを表していると言われています。

また柿を「嘉来」と表記することもあることから、「幸せがやって来る」という意味もあると言われています。
加えて「幸せをかき集める」という意味にも通じるとされています。

そして、柿の木は長寿であることも、「長寿・長生き」に関連するとして縁起の良いものといわれ、鏡餅に飾られるのだそうです。

◆鏡餅のもちが丸い理由

鏡餅餅が丸いのはなぜ
さて、ここからはおまけとして、鏡餅についての豆知識もご紹介します。
まずは鏡餅の餅が丸い理由です。
こちらは諸説ありますが、この形は「心臓」の意味があると言われていたり、神社に祭られていた聖なる丸い鏡「神鏡」をかたどっていると言われていたりします。
また、稲作をするうえで大切な「太陽」の形を意味するとされたり、「円満な人間の魂」を表しているなどといわれることもあります。

◆餅を2つ重ねるのはなぜ?

鏡餅の餅を重ねる理由
鏡餅を大小2つ重ねることも様々な説がありますが、月(陰)と日(陽)を表していると言われたり、2段重ねることで「良い年を重ねる」や「福が重なる」という意味を持っているとも言われたりしています。
また餅が丸いこともを合わせて、角のない丸い餅が重なることで、円満が重なるとも考えられているようです。

◆鏡餅が固い理由

鏡餅がお年玉の由来?
ちなみに「餅」と聞くと、「柔らかいイメージ」がありますが、鏡餅は固いですよね。
実はこの鏡餅の固さにも、込められた意味があります。
一説には、固い餅であることには「固い物を食べれるくらい丈夫な歯を持ち、健康に食べていけるように」という意味が込められているとされています。

◆鏡餅がお年玉の由来?

お年玉は鏡餅が由来?
鏡餅は、年神様のために年末に供えた鏡餅を、年神様が帰られる松の明けというタイミングで「お下がり」としていただき、家族や奉公人で分けることで、1年の健康と豊作にあやかれるとされています。

これがどうしてお年玉の由来になったのかというと、年神様からのお下がりとして玉のような餅をいただくからという説や、年神様は鏡餅に魂を込めると考えられていて「年神様の魂(の玉)」=「お年玉」となった説など……様々な説があります。

諸説ありますが、お年玉はお金ではなく、もともと餅だったのですね。
ちなみにお年玉が餅ではなくお金になったのは、江戸時代ごろからという説があります。
江戸時代には、餅と一緒にお金や品物を渡すことがあったのだそう。
そのころから、年始にお金を含めて贈り物をすることをお年玉というようになったのだそうです。

◆最後に

鏡餅は縁起物
今回は、鏡餅に使われている植物を中心に鏡餅の豆知識や、由来などもご紹介しました。
子供の頃から知っている鏡餅ですが、その込められた意味や願いについては知らなかったということが多いのではないでしょうか。
鏡餅や正月飾りなどは、使われている植物や形によってそれぞれの意味が込められているものが多いです。
これからは鏡餅をはじめとする、正月飾りなどを飾る場合はぜひどんな意味が込められているのか、なども考えてみてくださいね。

2022-01-07 | Posted in , 花と文化No Comments » 

 

正月飾りいつ片づける?~正月飾りの処分方法も掲載~


しめ飾り
という願いが込め

1月に入り、新しい年の幕開けですね。
お正月休みが終わり、お正月飾りを片づけるタイミングが、そろそろ気になってくる頃ではないでしょうか。

「初めて正月飾りを飾った」という方もいらっしゃったのでは?
そこで今回は、門松やしめ飾り、鏡餅、破魔矢の片づけるタイミングと、処分の方法をご紹介します。
また、おまけとして正月飾りによく使われる植物の名前や、特徴もお伝えします。
正月飾りを片づける時に、植物にも注目してみては?

◆門松を片づけるタイミング


門松

自宅で立派な門松を飾ったという方は少ないかもしれませんが、2枚目の写真のような簡易的な門松を飾ったという方は、意外と多いのではないでしょうか。

簡易的な門松

門松と聞くと、立派なものをイメージしてしまいますが、お花屋さんではこのように比較的大きな若松を1対でセットにした、簡易的な門松も販売されています。
立派で大きな門松から、比較的に飾りやすいサイズ感までありますが、門松はサイズに関わらず、1月7日または1月15日に片づけることが一般的です。
1月7日または1月15日までなど、地域によって異なりますが、正月飾りを片づける日までを「松の内」といいます。
松の内は、正月飾りを飾っておく期間とも言えますね。
ちなみに一般的に、松の内は関東と関西で分かれています。
関東地方の松の内は、1月7日が最終日になります。
朝、正月飾りを片付けた後、七草粥を食べるのが風習になっているのだそうです。
一方、関西地方の松の内は、1月15日まで続くため、正月飾りは15日に片づけることが多いようです。

または、松の内の翌日1月8日・1月16日に片付けるという地域もあるようです。
紹介した以外にも、松の内の期間は地域によってさまざまであり、7日でも15日でもないという地域もあります。
自分の住んでいる地域はいつ片づけるのか、1度確認してみるのも良いかもしれませんね。

◆しめ飾りを片づけるタイミング


しめ飾り

しめ飾りも、門松と同じく正月飾りの1つであるため「松の内」までに片づけるようにしましょう。
関東地方は1月7日に片づけ、関西地方は1月15日に片づけることが一般的です。
しかし先ほども、ご紹介したように地域によって日付が異なるため、確認してみてくださいね。

◆鏡餅を片づける(鏡開きの)タイミング


鏡餅

鏡餅を片づける(食べる)タイミングは、鏡開きの日になります。
門松やしめ飾りは、松の内までに片づけますが、鏡餅は鏡開きまで飾ることが一般的です。
鏡餅を木槌などで割って、お雑煮などでいただく、鏡開き。
最近の鏡餅は、プラスチックのケースに入っている物も多く、すぐに食べることができるので、木槌などの必要がなく鏡開きも便利になりましたね。
そんな鏡開きの日付は、松の内の期間によって異なります。
松の内が1月7日までの地域(一般的に関東地方)は、1月11日が鏡開きの日です。
一方、松の内が1月15日までの地域(一般的に関西地方)は、1月15日が、鏡開きになります。
1月15日が松の内の地域は、鏡開きと門松やしめ飾りなどの正月飾りを片づける時が、同じなのですね。
ちなみに、京都では1月4日が鏡開きとされていて、他の正月飾りを片づける前に鏡餅を食べるのだそうです。
鏡開きのタイミングも、地域によって様々なのですね。

◆破魔矢(はまや)を片づけるタイミング


破魔矢

神社などでいただくことができる破魔矢。
破魔矢は、魔除けや厄除けの意味を持つ矢のことです。
初詣に行った際に、購入するという方もいらっしゃるかもしれませんね。
縁起物であるため、お正月飾りとしても飾られることが多いです。
しめ飾りを片づける時に「一緒に片づけるの?」と、思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、破魔矢は魔除けの力を持つとされているため、お正月の期間以外も飾るようにしましょう。
神棚や玄関などに、1年間飾っておくことが一般的なようです。
1年間飾ったら、また新しい破魔矢と交換すると良いとされています。
初詣の際に、新しいものをいただくようにすると良いかもしれませんね。

◆来年も使っていいの?


正月飾り

正月飾りは、毎年新しいものを飾ることが望ましいとされています。
そのため、来年は新しい正月飾りを飾るようにしましょう。
使いまわしをしない理由は、神様は清浄(清らかで汚れがないこと)を第一とするという考え方があり、同じものを使うと神様の失礼に当たるとされているためです。
年神様がいらっしゃるのは、1年に1回。
年に1回しか、いらっしゃらない年神様のためにも、新しいものを飾るようにしましょう。

◆正月飾りの処分方法

正月飾りを処分する方法は、大きく分けて2つあります。
ここでは、そのお正月飾りの処分方法を簡単にご紹介します。

<どんどん焼きに持って行く>


どんどん焼き

全国の神社では、お正月飾りやだるま、お守りなどを処分することができる「どんどん焼き」というものが行われます。
どんどん焼きとは、1月15日(小正月)に行われることの多い火祭りのことです。
感謝の気持ちを込めて、正月飾りをお焚き上げしましょう。
ちなみにどんどん焼きの他に、地域によって「左義長(ぎちょう)」とも呼ばれています。

<お清めして一般ゴミに捨てる>


モダンな正月飾り

正月飾りは、白い布や新聞紙にくるみ、塩とお酒をふって清めてから、一般のごみと一緒に処分することもできるようです。
他にも塩だけで清める方法や、お庭で焼く方法など処分の方法はいくつかあるようなので、自宅で処分しようと考えている方は、調べてみてくださいね。

◆(おまけ)正月飾りで使われる植物

ここではおまけとして、しめ飾りや門松で使われている植物をご紹介します。
お正月飾りを片づける時には、改めて植物にも注目してみてくださいね。

<ウラジロ>


ウラジロ

「シダ」とも呼ばれる「ウラジロ」。
このウラジロは、しめ飾りや鏡餅の装飾としてよく使われています。
漢字で書くと「裏白」。
察しが付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、ウラジロは葉の裏が白いことが特徴の1つです。
葉の裏が白いことから「心に裏表がない清廉潔白」を表しているともいわれています。
また、葉の付き方が左右対称のため「夫婦円満の象徴」とも考えられているようです。

<橙>


ダイダイ

正月飾りに付いていることの多い、オレンジ色の果物は「橙」が多いと思います。
橙は、実をすぐに落とさないことが特徴です。
実をつけてから数年間は、木から落ちずに成長すると言われています。
「実を長い間落とさない」なんて、とても縁起がいい感じがしますよね。
ちなみに橙は「代々(だいだい=橙)子孫が繁栄しますように」という願いを込めて、正月飾りに用いられます。
特に葉が付いているものは、木に実っている状態に近いため、縁起がさらに良いとされています。

◆最後に


正月飾り

今回は正月飾りをいつ片づけるのか、処分の方法についてご紹介しました。
正月飾りは、地域に合わせて、お片付けしてみてくださいね。
また、お片付けする時は使われていた植物も改めて、注目してみると面白いと思います。
「この植物の名前は?」や「使われていた理由は?」など…ぜひお正月ならではの植物に出会ってみてください。

 

2021-01-06 | Posted in 花と文化No Comments » 

 

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